98年11月23日 「パッショーネ」 |
デスクリムゾンは凄いソフトだ。「クソゲー」としてながら、それぞれの好みを問わず、あらゆるゲーマーの間にその名を浸透させ、そして噂を聞き付けて興味本位で手に取った人々を悪のエリートたる強烈な魅力で次々と虜にしてしまう。中にはこのゲームソフトに突き動かされるものを感じ、自らのホームページに記事として乗せてしまう者や、果てはこれ自体をコンテンツの中心としたホームページを新たに作成する者も数多い。そんな人々の感嘆、畏怖、激情、喜怒哀楽あらゆる感情が入り交じった表現の数々を「デスクリムゾン・リンク集」の膨大なリンクから見ていると、このたった1本のゲームソフトによって、こんなにも多くのゲームファンを突き動してしまったという事実に、改めてその影響力の凄さを感じずにはいられない。かく言う私もそんな中の一人になってしまったが。「デスクリムゾン日記」というものを執筆し始めたのも、このゲームの異常さ、理不尽さをもっと広く認知させようという思いからだった。しかし、何度も挫折しそうになりながらも自力でクリアを果たしてからは、今までの苦労とそれを乗り越えた達成感、奇妙なバランスと強烈なキャラクターの存在感から、「本当に面白い」と思うようになっていた。KOT証明というクリア証明的な企画を出したのも、せっかく手に入れたソフトを途中で投げ出さないで欲しい、最後まで遊ぶ人が少しでも増えて欲しい、という思いからだった。だが、その後何人も現れたクリムゾナー達は、そんな私の予想を遙かに越えるPASSION(情熱)を持っていた。パッド、クリムゾンで次々とクリアして行く者、果ては両方でクリアを果たす強者、ノーコンティニューどころかノーミスクリアまで狙う者もいた。そしてアーマーボーグへの撃ち込みが発見されてからは、ヤリ込みへの熱意は「スコアアタック」という事態に発展していった。新たなる発見、伸び続けるスコア、全国的に見ると非常にマイナーで、かつ一般的にはゲームとしてすら認知されない事も多いこのソフトだが、実は本当にヤリ込みがいがある「熱い」作りだったのだ。その事は最終的に最もメジャーなゲーム雑誌である週刊ファミ通のヤリコミ特集で、おまけ的扱いの小さな記事ながらも取り上げられた事で証明された。私はと言えば、今ではアッシムの館も普通にクリア出来るし、1−1からデスビスノスまでを通してのプレイも、特別な事では無くなった。スコアもトップ5の方々と比較すると貧弱な腕前ながら、なんとか25万点程度にまで延ばす事が出来た。本当に何度と無くプレイした。こんなに1つのゲームソフトに入れ込むのは何年ぶりだろう?という程に。それも、未だクリアしていない一般的には「名作」と言われているソフトを放置しておきながら。昔、ゲームソフトがどれも新鮮で楽しく思えた頃があった。たとえそれがどんなに汚いグラフィックでも、最悪のバランスでも、無限ループしようとも、長すぎるパスワードを取りながらでも、やっぱり「楽しい」と思えた。だがマシンスペックの上昇と親切丁寧な作り、あまりにも過剰供給される「売れ筋」のソフトをプレイする度、美しさ、楽しさ、凄さ、あらゆる刺激に慣らされていった。いつの間にか、ゲームを数ヶ月中断しようとも、たとえそのまま永遠にプレイしなくても、別に何とも思わなくなっていた。ゲームをする時間がどんどん減っていった。別の事をしている時の方が楽しく思えるようになった。そして今ではコントローラーに全く触れない日の方が多くなってしまった。「ゲームに飽きた」と言うのは簡単だ。だが、ならば何故「デスクリムゾン」だけはプレイする事が出来るのか? 数限りなく発売される新作ソフトを後目に、中古ソフト、それもイロモノ系ソフトばかりを物色するのは何故だ? 結局、ゲームで遊ぶという事は、「状況に合わせて鳴り響く綺麗な音楽を聞きながらストーリーを読み進める」のでは無く、「調整された難易度の中で作り手が想定した通りの爽快感のみを感じる」のでも無く、ただ単純に、そのゲームだけが持っている「情熱」を感じ、それに没頭する事だと私は思う。そして、これらクソゲーと言われるソフト達は、非一般的な出来ゆえに生まれつき持っている、ある種ガン細胞だけが持つと言う無限増殖能力のような、負のエネルギーのような魅力をもって、私のような普通のゲームにはあまり興味を示さなくなった者を強烈な個性で引きつけてしまうのかもしれない。そうでもないと、ロクにストーリーも無く、投げ出せと言わんばかりにデタラメな難易度のソフトを「楽しい」と思えるハズは無いのだから。来年夏「デスクリムゾン2」が出る。ひょっとしてそれは、一見するとゲームバランスの取れ、見た目もそれなりに綺麗な極普通のゲームになっているかもしれない。だが、エコールなら大丈夫だろう。それは各種メディアで最も有名となったクソゲーの続編を作成するという前代未聞な事を平気でやってしまおうとする精神からも容易に推測出来る。だから、私は見守る。そして待つ。その時が来るまでの間、ひとまずこの奇妙な日記はここで封印する事にした。だが、勘違いしないで欲しい。日記を付けずとも、デスクリムゾンというゲームは私にとって特別なのだ。ただ、今では別に日記に記述する程「特別」な事では無くなってしまった、ただそれだけなのだから。 【98年12月15日・追記】ネタ切れギミだったんで、「とりあえず今回で日記は終わりにしよう」と、激長い文章を書きなぐった挙げ句、実は98年12月15日に、また次の日記を書いているのかー!?(いい加減でスマヌ ^^;) |
精神汚染 完了…? |
98年8月30日 「究極進化」 |
例によって3−3のスコアアタック。伝言板でのアドバイスにより、自己新記録を出すこに成功した俺は、心の中でガッツポーズをしつつ、スコアを記録する為にデスビスノスの広間に突入する。このゲームはゲーム終了時にスコアが記録されるため、記録を残すにはリセットせずにゲームを終了しなければならないからだ。究極の進化を遂げた生物「デスビスノス」、クリムゾンだと超スピードの攻撃と圧倒的な物量によって、あまりに強大で理不尽な敵となるのだが、パッドの俺は奴に負けたことは無い。「ボラボラボラボラボラボラボラボラァァァ!!!」画面中央を連打し、敵弾と共に奴をブチ抜く!…だが、途中で奇妙な感覚に襲われた。「手応えが、ねぇ!?」そして、奴は消えた。何処かに移動したようだ。居場所を探そうと画面右上を見て、俺は驚いた。「レーダーのしるしが消えたぁ!?」奴の反応が、忽然とレーダーから消えている! 上下左右と視点を切り替え、必死で奴を探す。「やりやがったな!」ふいに、画面の奥から敵弾が! レーダーにも敵弾が映っている。どうやら故障した訳では無いようだ。「そこだデスビスノスウゥアリャアアアァ!!」画面奥から出現したデスビスノスに対し、ありったけの連打をブチかます。だが、奴は全く反応を示さない!? レーダーを見た。「映ってねぇ…」ありえない事だ。敵弾は正確に表示されるのに、デスビスノスの反応だけが全く無いのだ! だが、現に奴は俺の目の前にいる!! その時、はっきりと理解した。これが以前より噂に聞いていたバグ「デスビスノス完全無敵化」だという事を。もう、こうなっては奴を倒す事は出来ない。しかたなくパッドリセットを発動しようと思ったが、ハッとその手を止めた。ハイスコアが出た直後だった事に気付いたのだ。これはマジでヤバイ。なんとか元に戻らないかとポーズをかけてみたり、画面を切り替えたりしたが、やはり全く無駄。スコアを記録するには、一度ゲームを終わらせるしか無い。ならば…俺は覚悟を決めた。無抵抗のまま、奴の攻撃を全て食らう。激減するクリムゾン・ゲージ、そして、GameOver。直後、無事にスコアが表示された。スコアを記録する為とはいえ、俺はこの日、初めて奴に敗北したのだった。 |
精神汚染度 144% |
98年8月29日 「今にも落ちて来そうな佐藤の下で」 |
それは、スコアアタック中の事であった。3−3「デスビスノスの宇宙船」で、右腕がツる程の打ち込みをしていた俺だが、形勢悪くGameOverの文字。まだ「GameOver」の表示が出ている間なら、パッドリセットでも間に合って「続き」を選べたのだが、極度の疲労により、それすら間に合わなかった。流れるのは”ECOLEのロゴ”。その時、ロゴのデスマスクに顔を会わすことはしなかった。数分を経過して、俺はスタートボタンを押していた。最近のKOT証明者による凄まじいスコアアタックに突き動かされるものを感じ、3−3でアーマーボーグを打ち込む前に訪れる遺跡「サファール」。そこは遺跡全体が魔物、そして民間人「佐藤」の住処と化していた。「ここでダメージを受ける訳にはいかない!」気力の連打で敵を殲滅していく。だが、そんな俺の前に執拗に立ちふさがる大小さまざまな「佐藤」、そして…「オーノー!」敵より目立つ位置に出現したと同時に射殺してしまった。その時、俺が思わず言ってしまった言葉「おーのー!」…かなり驚いた。極めてナチュラルに、俺はこの言葉を自らの声で発していたのだ。あたかも自分がゲームの一部であるかの如く…いや、ここまで熱中する時点で、すでに俺は、この「デスクリムゾン」という世界の一部になってしまったのかもしれない。病の流行と銃の謎は解き明かせないが、シャトレーゼ紅威は次々と更新されるスコアと、戦う。(デスクリムゾン取説のストーリー風) |
精神汚染度 100% |
98年8月6日 「HIGE」 |
オラオラオラオラオラァ!! 熾烈を極める、3−3「デスビスノスの宇宙船」でのスコアアタック。俺はこのHP運営者だが、情けない事にトップ5にすら入れていない! こんな事でデスの魅力を判っていると言えるのか!? そう、言えるハズが無い!!(自問自答)。腕、そして精神の疲労はピークに達しているが、それでも俺は前半戦で安定して10万点を越えるまで、ひたすらパッドリセットを繰り返す。こうする事で、3−3開始前の状態で速やかに「続き」が出来るのだ。だが…また駄目だ! くっそぉう! 俺には出来ないのかー!? バグ発生率が家庭用ゲームとは思えない程に高いデスクリムゾン、それ故に、パッドリセット等を繰り返すとゲーム以外のシーン(例えばタイトル画面やステージ開始前等の場面)で、よく「縦ジマ」が入る。多くの場合、全体に白い縦縞が入るのだが、時として、それは芸術に変わる。ほら、今だって、エコールロゴの黒い部分だけに白い縦ジマが入って、ちょうど「白いヒゲの老紳士」のような顔で、俺に微笑んでるじゃないか!! 俺は負けない!! 俺は、このほほえみがある限り、負ける訳にはいかないんだ!! せっかくだから、俺はひたすら「続き」を選ぶぜ!! …だが、この直後、序盤の1UP出現場所の辺りで、死んだと同時にコンティニューをすると「くっそぉう!」「この野郎!」「やりやがったな!」の三重奏、そして画面は完全に止まり、メロディーのみが流れ続ける。パッドリセットも無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!! 時を止められたかのような画面を前に、しばし呆然としたが、無駄な事が嫌いな俺は、速やかに電源を切った。 |
精神汚染度 0.85324649% |
98年7月26日 「No DeathCrimson, No Life」 |
疲労した右腕、それが証明。 日々レベルが上がるスコアアタック。 オープニング・ロケ地も発見された。 デス2も来年夏、舞い降りると言う。 興味本位でデスを購入した者達。 オープニングで笑い、そしてゲームで泣いた者達。 俺は? そうだ、去年の夏、ふとした事で手に入れた「デス」。 笑えたが、救いようがないゲーム。不愉快になる前に、止めた。 「所詮はクソゲーだ」 存在すら忘れていた。 ふとした事でホームページ作成する事になった、1月。 無料で持てる、それが作成した理由だった。気まぐれに作って、気まぐれに止めよう、そう思っていた。 ネタの1つとして、洒落で始めた、「デス」 理不尽な操作性、極悪なバランス、挫折、そしてクリア… 俺の中で、何かが変わった。 4月、ホームページを移転し、全面作り替え。 より多くの「デス」保持者に、その楽しさに気付いてもらう為に。 スコア更新、さまざまな発見、デスで繋がっていく人々… 俺は? もう一度、自分に問いかける。 「これはクソゲーじゃないの?」 そうだ、これはクソゲーだった。 そう、「だった」。 たとえ100人中99人がクソゲーと呼んでも、今の俺には、名作だ。 って、何を書いてるんだ、俺はッ!? (←ちょっと我に帰る) |
精神汚染度 100% |
98年6月15日 「人の尊厳」 |
今日も伝言板では下降気流氏が平均以上のスピードで前人未踏のスコアを自らの手で更新して行く。 10万点を超える、そんな事が当たり前になる日が来るとは、夢にも思わなかった。 俺のスコアは、10万点を超えた辺りで止まっている。命を捨てての攻撃でも、実は大半のトルーパーを逃しているのだ。 全く理解出来ない…プレイするたびに、追い討ちの回数が変わってしまう! さっきは安定して撃ち込めた敵が、 今度は一撃で消えてしまう! いつもド真ん中をブチ貫いているハズなのに! 理解不能! 理解不能!! 腕が痺れてきた。思考も、麻痺していく。無尽蔵に回転するステージにトリップしてしまいそうな意識の中、 ぼんやりと惰性で連射を続けているうち、ふとした事に偶然気が付いた俺は、撃ち込みの途中でポーズをかけた。 次の撃ち込みでも、ポーズをかけた。その次も、その次も。 そして、理解した。正確な撃ち込むべき場所が。だが、あぁ! なんという事だ! 俺に、 この、人の尊厳を踏みにじるような個所に撃ち込めというのか! ECOLEは、 なんと残酷な事を思い付くのだ! 男の鍛えようの無い個所、これこそ、 殺られてなお苦しみを与える事の出来る場所だったのだ!! 何度試しても、 やはり追い撃ちが成功する。 これで俺のスコアは更に上を行く事が出来よう。だが、それ以上に理解したのは、敵の悲鳴の、本当の意味かもしれない… |
精神汚染度 119% |
98年6月2日 「覚悟とは」 |
3−3「デスビスノスの宇宙船」で、スコアが10万点を超えた。 最多の敵出現数を誇るこのステージは、普通にプレイした場合でも、軽く6万点を超える。だが、全ての敵を倒したとしても、恐らく8万点台が限界だろう。ただ倒すだけならば、の話だが。バーチャコップを良い手本(?)として作成されたデスクリムゾンは、当然ながら、スコア稼ぎがアツイ作りとなっている。人型の敵は、攻撃した後、画面から消えるまでの間、更に攻撃を加える事が出来るのだ。ただ、バーチャコップと違う点は、追い討ちを行うには敵の中心を撃たなければならない、そして一度追い討ちに成功すれば、画面からスクロールアウトしない限り、無尽蔵に撃ち続ける事が出来てしまう、という事である。この事を踏まえてプレイした俺だったが、思うように追い討ちが出来なかった。原因は、闇雲に動き回るコンバット越前である。上を向き、下を向き、ぐるっと回って後ろを向く、こんな視点移動の激しいゲームが、未だかつてあっただろうか? 幾度もプレイし、敵の配置を記憶し、全ての敵を倒そうと必死になる。だが、一向に得点は伸びない。更に他の雑魚の出現数も凄まじく、とても追い討ちを行う余裕が無い。「俺がやっている事は、無駄なのか?」その時だった。頭の中で、とあるコミックで出てきた、ある言葉を思い出したのは。 「覚悟とは、暗闇の荒野に、進むべき道を切り開く事だ!」 そして、その中で登場する拳銃使いの男が取った行動を。俺は、覚悟を決めた。あらかじめ出現位置にカーソルを構え、同時に出現した雑魚は無視し、追い討ちを続ける!! 敵からのダメージは無視し、クレジットも惜しみなく使い、一度食らいついたら放さないスッポンの如く、アーマーボーグへ鬼の連打!! 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァ!!!」 6桁の壁。覚悟は、この壁よりも高く登り、そしてその輝きは更なる高スコアへの道を照らし出した… |
スタン度 123.567% |
98年5月20日 「事実は奇なり」 |
ふとした事で、俺は極めたハズの2ー1をプレイする事となった。 超人的なスコアを叩き出しているデスクリムゾン・プレイヤーDDKクリムゾン氏は、数日前、伝言板にて興味深い発言をしていた。「2ー1クリアの時点で、クレジットは5に出来ます」と。これを見た時、俺は正直「そんな事は不可能では?」と考えていた。悪名高き、2ー2「アッシムの館」。気が変になる程やりこんだ日々、そして、そこに行く前に必ず通る事となる、2ー1「イズキット川」。ここも同じ数、いや、それ以上にプレイした。2ー2をクリア出来る今、全てのステージを通じて一番やりこんだと言っても過言でない。だから、俺は全てを知っている。途中の1UP、クリムゾンの進化の3・4段階目、そしてクリア後の清算で1つ、これで合計のクレジットは4となる。クリムゾンの進化は、5段階目では何も起こらない。スコアも、出現する敵をほぼ全滅させ、なおかつ命中率は80%以上をキープしている今、大幅に増加させる事は出来ない。どう考えても、不可能だ。だが、「原住民は、必ず弾を吐かせる。そして(重要)弾だけを撃つ。」この指摘が、妙に引っかかった。考えるより、せっかくだから実践しよう、俺は2ー1を始めた。敵の出現位置は殆ど記憶しているので、いつも通り敵を殲滅して行く。ただ普段は出現と同時に倒していた原住民を、指摘通り弾を吐かせた後、弾を優先的に破壊するように心がけながら。だが、何も変わった所は無い。弾を破壊する事で、普段より進化ゲージの上昇は早いが、これを破壊した所でスコアは全く増加しないのだ。だが、2ー1も終わりに差し掛かったころ、弾を破壊していく事によって、進化ゲージが今までで最高の6度目の進化を遂げた瞬間、聞きなれた気だるい言葉が鼓膜を抜け、俺の脳天を直撃した。 「ワン・ナァプ!」 なんと、5度目で増加しなかったクレジットが、6度目で再び増加したのだ!! なんてこった!! 俺は今まで「5度目で増加しないのだから、それ以降は増加しない」と、思っていたのだが、それは俺の思い込みでしか無かったのだ。 目から鱗が落ちていった。そして、DDK氏のやり込みに心底感服しながら、こう呟いた。「やりやがったな」、と… |
精神汚染度 130% |
98年4月29日 「意味の無い事にこそ、意味がある」 |
デスクリムゾンを取り上げる記事で、頻繁に出される言葉、それは「秒殺」だろう。突如空間に出現し、程なくして聞こえる「やりやがったな」。殺られたものはその理由すら理解出来ずにゲームを終えてしまう、まるで未知のスタンドにでも出会ったかのように。今まで何人のゲームファンが、むなしい思いでECOLEのロゴを見つめて来たのだろう。一通りクリア出来るようになった俺は、せっかくだから、このゲームはどのくらい秒殺してくるのかを調べてみたのだ。その方法は、ステージのタイトルが消え、ポリゴンによる美麗風景が映し出されてから無抵抗の俺が何秒で殺られるのか?というものである。そして、その結果がこれだ。 #1−1…7秒、 #1−2…17秒、 #1−3…11秒、 #フライリハード…1分13秒 #2−1…18秒、 #2−2…8秒、 #ムーラ…21秒 #3−1…10秒、 #3−2…8秒、 #3−3…8秒、 #デスビスノス…32秒 あくまでこれは無抵抗の状態で殺られるまでの時間なので、実際のプレイではこちらも攻撃する分、もっと長く生きられるだろうが、それにしても、1−1が短い。あの操作性に追随出来ない人々を選別する為に、ECOLEが人為的に作リ出した罠なのだろうか? 俺も始めてのプレイでは、あの操作性で敵に照準を合わせる事など、到底出来ないと思ったものだ。ところで、このデータを見て何か気づいた事は無いだろうか。ボス戦でのタイムを見て欲しい。意外な事に、攻撃の激しさではデスビスノスよりもムーラの方が上だというのだ。じっくりと観察して解った事は、デスビスノスの攻撃は、どうやら一度に2発(しかし、異常なほどの速さがあるが)のようだが、ムーラは手下の数が多い分、その攻撃全てを受けるとかなりのダメージになるようだ。フライリハードはどうだろう。1分13秒、このゲーム中、一番の手ぬるい攻撃。これは何を意味するのだろう。…まさか、ボス戦ではルールが変更される、その事に気づかせる為の時間を、俺達に与えてくれたのか? あの、ECOLEが? 何故? だったら、何故クレジットを0にするのだ? 何故、デスビスノス戦だけクレジットが有るのだ? 何故だ? …俺は考えるのを止めた。素直にECOLEの意志に従おう。そう、俺はアッシムの居ない「アッシムの館」を抜けた時から、そう決めていたんだ… |
精神汚染度130% |
98年4月19日 「仲間」 |
攻略法を確立すべく、ステージ1〜3を通してプレイ。普通にクリアしてしまった。アッシムの館も、デスビスノス戦も問題無く。これで3度目のクリアだが…あの時…まさか…。このソフトを有利に進める一番の方法は、敵の大まかな配置を覚えることである。だが、たとえ敵の出現位置が解ったとしても、どうにもならない場合が多い。出現した瞬間には攻撃態勢に入っている敵、素早すぎて時々制御不能に陥るカーソルの動き、バグッて消えるカーソルマーク、ムササビ&佐藤が邪魔で攻撃が出来ない等々…これらが、このソフトのクソゲーたる本当の理由でもある。だが、心に「愛」を持ってこのソフトと接すれば、デス様も俺に心を開いてくれるのさ! 佐藤だって、ムササビだって、デスビスノスだって、みんな生きてるんだよ! ベイベー! …取り乱してしまった。実は、俺は最近、恐ろしいことを考えてしまうのだ。この「デスクリムゾン」というソフトに俺は認められたんじゃあないかと。だって、そうとしか考えられないんだ! 無数の敵が攻撃態勢に入ったのに、そして、確かに攻撃を受けたと言うのに、俺は、生きていたんだ! 死ななかったんだ! 俺は、守られているのか? 何故? ホームページという空間を利用し、広くデスクリムゾンを普及させようとした俺は、デスビスノスの手下として見られているのか? だから、あの時攻撃されなかったのか? 違う! 違うんだ! 俺は、人間なんだ! だから…俺の方を見ないでくれよぉ…例のロゴには縦ジマが入っている。そして、半分覗いているデスマスクは、そんな俺に微笑んだような気がした… |
精神汚染度 100% |
98年4月15日 「そして、進化した精神」 |
画面は、ステージセレクトに戻っている。VTRも動いている。ステージ3…俺は、正直言って、ステージ3には嫌悪感を感じていた。蘇る3−2の戦慄。あの日、欽ちゃんが絶叫していた長野オリンピック終幕の日に植え付けられた記憶。だが、人の記憶とは、いい加減な物だ。ひょっとしてあれは、俺の潜在的な意識が作り出した陰惨な妄想だったのかもしれない。いや、そう思いたかった。だからこそ証明せねば。今ならVTRと言う客観的な記憶によって真実を確かめる事が出来る。そう思った俺は、ついに覚悟を決め、ステージ3でボタンを押した。3−1は白い民間人「佐藤」の宝庫だ。凄まじい速度で前方を遮る彼らには、遠近感すら存在しない。難易度は極めて高い。だが、そこでも俺は幾度も窮地に立たされながらも、クリアする事に成功した。しかし、喜びは全く無い。俺の中の嫌悪感が無意識に視線を画面から逸らす。あの3−2「シャナ・ファーラ」が始まったのだ! クリムゾンの連射を止めた俺の耳には、記憶とは大きく異なる音楽が聞こえてきた。例えるならは、出来損ないの東南アジア系民謡。以前の記憶では物静かで単調な音だったのだが。だが、しばらくすると、やはり俺の記憶には間違いは無かった事を確証した。音楽はすぐに単調になった。いや、なってしまうのだ。俺のあまりにも激しいクリムゾンの発射音によって、BGMの大部分は途絶え、一部の単調な音のみが聞こえていたのだ! 幽霊の正体見たり何とやら、といった所か? そう思えると、以前の嫌悪感は少しだけ軽くなり、落ち着いた気持ちで、クチビル玉をグチャグチャと潰す事が出来た。ステージ3は難なく越えた。デスビスノスも、カーソルを画面中央に固定し、高○名人の気持ちで鬼の連打を繰り返す事で、何無く倒す事が出来た。STUFFを眺め、スコアが表示された所でパッドから手を放し、記録を止めたのだった。 この日記を書いている間、映し出されていた、俺の闘い。それは、心に生み出された奇怪な扉の前で恐怖していた俺に、それを開け放つ勇気をくれた。だが、それと引き換えに、ずっと否定し続けてきたあの感情を、受け入れる事にもなってしまった。 「俺は、デスクリムゾンを、心底楽しいと思っている」、と… |
精神汚染度 600% |
98年4月14日 「成長する精神」 |
どうやら、俺は、最後の一線を越えてしまったようだ。この日記を付けている俺の脳をかき回す、クリムゾンの発射音。テレビに目をやると、ほんの少しまえの「俺」が、戦っている。昨日、気まぐれに遊んだ、2−2…あの日、1度だけ奇跡的にクリアして以来、マトモにはデスクリムゾンをやってはいなかった。ごくマレに、ふざけた気分で遊んでは、あっさりと倒されて「この野郎!」という断末魔の声を聞く。本当に、その程度しか、やっていなかった。だが俺は、そんなブランクなどまるで無かったかのように、2−2を越えたのだ。それも、ごくあっさりと!! そして、俺は「何か」を掴んだような気がした。だが、それが「何」なのか、その時の俺には理解できなかった。そこで今日、VTRをセットした上で、再度2−2「アッシムの館」に挑み、それをはっきりさせようと思ったのだ。何の迷いも泣く、完璧なプレイで2−1をクリアし、予定通りクレジットは’4’。時は、動き出す。オーノーと叫ぶムササビ、超高速でせまるコウモリ、極悪な操作性。俺は、連打した。ムササビを恐れる事無く、連打した。そして、俺は気づいたのだ! 攻撃が当たらなくても、同じ場所を連続で打ち続けると、いいかげんな当たり判定によって、敵を倒せる事に! そうなんだ! 連打だ! 連打だったのだ! 今までは、攻撃が当たらなかった時、あせってカーソルをガムシャラに動かしていた。だが、真実はこうだったのだ! 「たとえ攻撃が外れても、それが敵に近い場所ならば、諦めずに撃ちまくる」 これだ! 俺が昨日気づいた「何か」は!! 今の俺は難攻不落の「アッシムの館」をクリア出来る。ステージ2のボスをブチ殺し、そう確証した俺は、ここでVTRを止めようとした。だが、精神に潜む「KOT」は、俺に更なる試練を投げかけた。 「せっかくだから、もう一度、ステージ3をクリアしようぜぇ!!」と… TO BE CONTINUED... |
精神汚染度 440% |
98年3月29日 「Dの爪痕」 |
今日、ふとしたキッカケで、俺は本屋に向かった。そろそろ5月号の雑誌が発売されているハズだったので、丁度良かった。インターネット関連の雑誌を毎月購入している。買う雑誌は「インターネットアスキー」か「インターネットマガジン」だ。どちらを購入するかは立ち読みで決めている。だが、今月は「インターネットマガジン」を読む事無く、「インターネットアスキー」を選んだ。俺の精神に食らいつく「KOT」が、立ち読み中あの記事を見つけたのだから。それは、224ページの記事である。”HTMLエディタでクールなWEBページを作ろう”と題された、その記事には、それぞれのエディタでのHP作成画面が掲載されていた。だが、その画面に映し出されている内容は、 「アッシムの館へようこそ」 「越前庸介Web・紅の扉」 「ダニー、グレッグ! 生きてるかぁ!?」 ああ! なんという事だ! ここまで「KOT」の汚染区域が拡大されていようとは!! だが最もおそろしい事は、その部分を読んだ時点で俺の精神は「せっかくだから、記念に購入するか!」という結論を出していたという事だ!!! そして購入後、自宅で見ているうち、もう一つ「KOT」の影を発見してしまった。339ページに、PCのリサイクルに関するマジメな記事が掲載されている。そのページの右、上から4行目を見て欲しい! 「多くのユーザーは ”せっかくだから、俺は出来るだけ高性能なマシンを選ぶぜ” とばかりに」 ぐぁぁぁぁぁ!!!! 越前のセリフ「せっかくだから、俺はこの紅の扉を選ぶぜ!」との異常なまでの類似性!? やられている! この編集者は「KOT」にやられているのだ!! だが、こういう俺が、一番「KOT」にやられているのかもしれない。この事を日記に書き、不特定多数の人々にこの記事の存在を知らせているのだから。そして、その中から「D」に興味を持つものが現れる事を、少なからず望んでいるのだから… |
精神汚染度 120% |
98年3月2日 「時間よ止まれ」(後編) |
昨日、あからさまにバグッた「デスクリムゾン」の電源を入れる。実は、デスに関する重要な情報を思い出したのだ。それは「ゲームを途中で中断しても、そこから再開出来る」というもの。簡単に死ぬ上、ゲームオーバーになると速攻で「例のロゴ」に戻されるこのゲームでは、途中で止めるなんて事はまず無かったので、これを実際に自分の目で確認した事はなかった。だが、昨日ハングアップという不慮の事態が起こった事により、偶然にもこの謎を解明する事が出来るのだ。長いロゴの後、スタートボタンを押すと、 「続き」 馬鹿馬鹿しいほど分かりやすい言葉が、ステージセレクト画面に表示されているではないか!!! せっかくだから、俺はこれを選択すると、1−2が始まった! クレジットも1−1をクリアした時と同じく、5となっている! 凄い、凄すぎる! こんな事は他社では思い付きもしない、正にECOLEだからこその気配りなんだ!! その後、噴水を破壊してもハングアップする事も無く、無事に1−2、1−3とクリア、不細工なボスも難なく倒し、その勢いでステージ2も遊んだ。だが、2−2で秒殺オンパレード&ムササビ地獄。ECOLEのバランスのデタラメさに心底気分を害した俺は、昔のように速攻で電源を切った。 |
精神汚染度 39% |
98年3月1日 「時間よ止まれ」(前編) |
エンディングを1度見たものの、この歪んだ空間が心地良いので、再び遊ぶ。選ぶは、ステージ1。このステージははっきり言って見切った。唐突に現れて地面に潜る謎の民間人「佐藤」に惑わされる事無く、ターゲットのみを的確に抹殺して行く。どうやら兵士風の敵は、頭部を撃たれるとブレイクダンスをするかの如く、苦しみもがき、消えて行くようだ。この辺にECOLE Stuffのこだわりをしみじみと感じ取る事が出来よう。手応えの無い1−1を終え、1−2.ここにはECOLEの噴水があり、これを破壊する事でクレジットが5加算されるのは、デスクラーの周知の事実である。当然俺も、このチャンスを逃しはしない。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」 ECOLEへのウラミを込めた俺の連打が、噴水を打ち砕く…ハズだったが…画面は暗転し、そこで、時間が止まった。 「バグ…か!?」 ものの10分と立たない内にハングアップ。 「ヒャーッハッッハッッハッッハッッハッッハッッハッ!!!」 ピクリとも反応しない画面を見ているうち、あまりの馬鹿馬鹿しさから笑いが込み上げる。 だが、どうしようも無いので、電源OFF。(続く) |
精神汚染度 66% |