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2000/04/28
■Renaissance の渦に巻き込まれ
本日、突然の告知から数時間後、世界は激変し、住民に選択の余地が与えられた。 今まで住み慣れた世界は、 プレイヤーが奪い合い力で統治される「フェルッカ(Felucca)」となり、 新たにもう一つ、 地形は全く同じだがあらゆる殺人を許さない秩序ある世界「トランメル(Trammel)」という 似て非なる双子世界が誕生したのである。

PKによる殺人を嫌うものは「トランメル」に移住すればいいし、 争いの無い世界が退屈だというものは「フェルッカ」に残ればいい。 殺人者でなければ両方の世界を行き来することも可能だ。

以下は、今日誕生したばかりの「トランメル」のレポートである。

トランメルに渡るにはガード圏外で「ムーンストーン」と呼ばれる石を使う事でのみ開く、 特殊なゲート「ムーンゲート」を潜らなければならない。 ムーンストーンはモンスター(街を襲撃に来ていたリザードマンなど)から入手する。 現在の世界が「フェルッカ」となった途端、血が沸き、木々は枯れ、ガイコツが散乱する 荒れ地となった。 だが、ゲートを潜って見えた世界は、 その景色とは対照的なほど緑溢れる美しい世界だった。正に楽園と言える美しさだ。

Felucca

Trammel


「トランメル側」のブリテンの街には、既に多くの移住者で溢れていた。 以前居た世界と全く同じだが、街にいる店員は全て違っているようだ。 ブリタニアの城の門は堅く閉ざされていた。

しかし人々は(既に予測されていた事とはいえ)、少々混乱していた。

まず問題となったのが、新世界用のルーン(移動魔法での移動先を記憶した石)が新たに必要となった事だ。 以前居た世界は変革を経てフェルッカとなったが、それまで持っていたルーンの記憶座標もフェルッカのものとなった。 つまり、『この新世界トランメルで新たに座標を記憶させたルーン』を早く手に入れないことには、 徒歩かムーンゲート(世界の何カ所かと繋がっているゲート)、船でしか移動手段が無いのだ。 移動ができないと魔法使いは秘薬の買い出しも出来ず、戦士は狩り場に出かけられず、 商人は別の街に移れず商売が難しくなるなど、多くの人が生活に不自由をきたすだろう。

次に問題なのが、家が無い事だ。 もちろん、鏡写しのこのトランメルでも、前と同じ場所に街があり、店がある。 だが、それは世界が誕生した当時からある街や施設だけで、 冒険者が移住し、空き地などに建てた家や店は、全てフェルッカに建ったままだ。 時期が来れば建築ラッシュが始まるだろうが、それまでは慣れ親しんだ軒先でたたずむベンダーにも会えない。 採掘場の近くでは、冒険者達が建てた家の中に設置された炉でインゴットを生成できたが、 それもしばらくは出来そうにない。家が無いなら、炉も無いのだ。

最後に、ムーンストーンの入手が困難な点が上げられる。 ムーンストーンは2つの世界を繋ぐゲートを開く唯一の道具だが、 フェルッカからトランメルに行くムーンストーンはフェルッカで、 トランメルからフェルッカに行くムーンストーンはトランメルで入手する必要がある。 トランメルはまだ出来たばかりの世界だから、モンスターを倒して自分の手で石を手に入れないと 帰る事もできない。だが、戦いは危険が伴うし、倒したからといって確実に手に入るものでもない。 戦闘を得意としない者にとっては石の入手はより困難なものとなる。

以上の3点で、街ではいったい何が起こったのだろうか。 まず、ルーンブックが高騰した。以前居た世界では1冊2500gp程度だったのが、 5000gpで売られだした。 ムーンストーンも、以前の世界では道ばたに捨てられていたのをよく見かけたものが、 このトランメルで入手したムーンストーンは1つ300〜500gpの高値で取引されていた。 そして、ベンダーも無く移動もままならない不便な世界に嫌気がさし、 元居た世界に帰ろうとムーンストーンを求める者を相手に、 1人100gpで8人集め、フェルッカへのゲートを開く「ツアー」を開くという ユニークな商売をする者も現れた。

ただ、この混乱はおそらく短期的なものだろう。ルーンは1冊あれば魔法の心得のある者なら 簡単に作成できるし、2世界を頻繁に往復するものはそう居ないはずだから、 やがてムーンストーンの価値も落ち着くだろう。 トランメルでの家の建築が許可されれば、ラッシュと共に便利な店があちこちに出来る。 そうなってからが、本当の意味でトランメルが機能しだす時と言えよう。

それまでの間、刻々と変化する世界の現状に会わせた商売が出来れば、 それはまた一角千金のチャンスでもある。 ただし、あまり欲を出しすぎると需要と供給のバランスが崩れ、 濡れ手に粟(あわ)のはずが、ただの”泡”だけになる恐れもある事を肝に銘じておくべきだ。

それに、ルーンブックやムーンストーンの価格が崩れるのも、もはや時間の問題かもしれない。 帰り際、早くもこんなボヤキが聞こえてきたのだから。

「ムーンストーン1つ300gpで売るよ〜! …ちっ、売れやしねぇ!」


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