1998/06/14
ぶるぅ日記 『食い足りなかった炒飯』
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午後6時。適度に空腹を感じ、近場のローソンで「チャーハン(350円)」を購入。
部屋に帰ると早速、グルグルにくるまれたラップを引き剥がす。
上ブタのセロテープが、ラップにもひっついていた。
それを いいかげんに、そして強引にはがそうとした俺は、数秒後に信じがたい光景を目にする事となった。
「バシャ」
言葉が出ない。
一カ所だけ止められていたセロテープを軸にして、ちょうど ”二枚貝が口を開けた” ような形で、あぐらをかいて座っていた俺の足元に………ホカホカの………湯気の立ち上る「チャーハン」が………
クッションの上にも!
じゅうたんの上にも!
ズボンの上にも!
そして、靴下の上にもッ!
一瞬、思考が止まった。
そして我に返ると、どうやって片づけるべきかを、考えた。
「集めて捨てよう…。」
だが、空腹はこう言ってきた。
<食オウ!>
別に汚れていない(ような気がする)部分をすくっては、容器の上フタに盛り集める。最初はスプーンでやっていたが、最後には手掴みになっていた。
「この部屋に掃除機をかけたのはいつだっけ?」
それは なるべく考えないようにしながら、黙々と作業を行った。
よかった、7割くらいは何とか食べられそうだ。
<ニホンハ ホウショク スギルノダ!>
残り3割の「もう食べられそうに無いモノ」は、
全てかき集めた後でラップにくるんでゴミ箱に捨てた。
そして汚れた じゅうたんを拭き、
ベタベタしているズボン、靴下、そして座っていた「クッション」を、
そのまま洗濯機に放り込んでスイッチを入れる。
全自動洗濯機の床に響く音を聞きながら、ようやくメシを食う。
TVを付けると、ニュースで ”今日、大阪市内で不発弾が「撤去」された” ことが
報道されていた。
<オレモ タッタイマ テッキョシタンダヨ!>
………ブルーなキモチ。
オーノーの言葉も出ないまま、黙々とメシを食らう。
今度は、こぼさなかった。
そして全て食べ終わったころに、ちょうど洗濯機終了の電子音。「今朝洗濯したばっかジャ〜ン、みたいな」なんて思いつつ、洗濯物を取り出す。
そういえば…
「こういう物って、洗濯機に入れても良かったのか?」
ズボンや靴下は、当たり前だが普通に洗濯されていた。
だが、一緒に入れた「クッション」は、まるでクッションに見えない
奇妙な形に変わり果てていた。
洗濯したことによって、中の「綿」がゴボゴボと不自然に絡まり固まっているのは、
誰の目にも明らかだった。
「ふふふ」
ちょっと笑った。
今日の晩メシは、ちょっと食い足りなかった。
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