アルバム・シングルの総売り上げは世界で1億2,000万枚以上、音楽プロデューサーや俳優としても活躍した、世界的ロックミュージシャンの『プリンス(Prince)』こと、プリンス・ロジャーズ・ネルソンさんが、2016年4月21日、57歳の若さでこの世を去った。
「週刊少年『』」インタビューより
洋楽をこよなく愛する荒木飛呂彦先生にとってもプリンスは特別なアーティストで、2003年にCS番組「週刊少年『』」のインタビューで、一番好きなアーティストを聞かれた荒木先生は、『プリンス』と即答していた。(ちなみに荒木先生とプリンスは誕生日も同じ6月7日)
ジョジョ第5部主人公ジョルノ・ジョバァーナのスタンド『ゴールド・エクスペリエンス』はプリンスのアルバム『The Gold Experience』から取られており、さらにジョジョ第8部主人公 東方定助のスタンド『ソフト&ウェット』とヒロイン広瀬康穂のスタンド『ペイズリー・パーク』はどちらもプリンスの楽曲で、『Soft And Wet』、『Paisley Park』から取られている。
プリンスの映画『プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ』が2014年にリバイバル上映された際には、荒木先生は映画の公式サイトで「異様(ビザール)な世界を体験(エクスペリエンス)出来、陶酔(トリップ)出来る映画。「サイン・オブ・ザ・タイムズ」はまぎれも無い傑作。何度も観た。」と推薦コメントを寄せていた。(プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ(字幕版)はiTunesでHD版200円、SD版100円でレンタル視聴『可』能。)
映画『プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ』のパンフレットにも荒木先生のインタビュー記事が掲載、2ページで5000字以上「たっぷり」プリンスの魅力を語っており、その中で荒木先生は、プリンスの表面的なヴィジュアル性よりも、そのリズムから影響を受けたことを明かしている。
プリンスの表面的なビジュアル性よりも、そのリズムから影響を受けました。とにかくリズムがヘンだから、カラオケだと一番歌いにくいタイプですよね。淡々とリズムをキープしているかと思ったら突然ガラッと変わったりとか、何度かトライしたんだけど、難しかった。自分の描く漫画でも、それと同じことをやろうとしているんです。たとえば第1部が終わって、第2部の舞台がまったく異なったものになるというのは、僕の中では“プリンス的”なんです。流れを崩して、「え! 何?」と思わせるあたりがね。いきなり違う世界に引っ張っていったら、読者が戸惑うだろうなぁと思って… 実はそういうのって不安でもあるんですよ、これで人気が落ちてしまうかも知れないけど、プリンスがいるから大丈夫だ!と思って(笑)。本当に恐れを知らない人ですよ、プリンスは。
(映画『プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ』パンフレット掲載、荒木飛呂彦インタビューより)
荒木先生はレコード店で初めて見たポスターのインパクトから手に取り、それ以来ずっと聴き続けているという。そんなプリンスの魅力を「何十年聴き続ける異様な音楽」と言い表し、そして最後にこう語っていた。
プリンスには、いつまでもアーティストでいて、素晴らしい作品を発表し続けて欲しい。最近の作品もずっと聴いていますよ。絶え間なくアルバムを発表してくれるのが一番嬉しいです。
(映画『プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ』パンフレット掲載、荒木飛呂彦インタビューより)
新しい作品が発表されることはもうないが、プリンスが残した黄金体験は、「時空を超えたスタンド」のように、これからも世界中の人々に愛され、影響を与え続けるだろう。
カラー版『ジョジョ』第5部 2巻より、ジョルノ・ジョバァーナのスタンド『ゴールド・エクスペリエンス』。能力は物質から生命を生み出す。元ネタはプリンスのアルバム『The Gold Experience』。
The Gold Experience / Prince
カラー版『ジョジョリオン』2巻より、東方定助のスタンド『ソフト&ウェット』。能力はシャボン玉で「何か」を奪う。元ネタはプリンスの楽曲『Soft And Wet』。
Soft And Wet / Prince(収録アルバム: For You)
カラー版『ジョジョリオン』4巻より、広瀬康穂のスタンド『ペイズリー・パーク』。能力は「行くべき方向」へ誘導する。元ネタはプリンスの楽曲『Paisley Park』。
Paisley Park / Prince (収録アルバム: Around The World In A Day)
「80年代以降はやっぱりMTVっぽいから、プリンスとかマイケル・ジャクソン。プリンスは全部聴いてますね。最初に聴いたのは4枚目の『戦慄の貴公子』だったかな。やっぱ異様な感じがするのがいいですよね。だから直球的なマドンナよりはプリンスの方がいいですね。『ただじゃ済まさないな』って感じが楽しいんですよ。やっぱり80年代はプリンスが一番デカいですね。
ROCKIN’ON JAPAN 3月号インタビューより(2000年)(”ジョジョ”作者 荒木飛呂彦の愛した洋楽まとめ – 洋楽ロックのススメ)