「何をするだァ――――ッ」! 『ジョジョ』の伝説的誤植、遂に修正される

「息子がつかまるのを見たくないはない…」(2巻58P)、
「本日中にきさまを殺す わたしの幽波で!」(13巻82P)、
「うっおとしいぜッ!!」(16巻157P)、etc…、
連載時は勿論、コミックスでも訂正されない事が多い「ジョジョ」の誤植において、最も有名な誤植といえば、コミックス第1巻・第1話目に存在する、「何をするだァ――――ッ ゆるさんッ!」だろう。

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91年2月15日 第23刷発行
何をするだァ―――ッ


連載時にはちゃんと「何をするだァーッ」だった(詳しくはジョジョの奇妙な再発見さんの「何をするだァーッ について」を参照)にも関わらず、何故かコミックスになって出現した、この田舎物のような絶叫は、
1987年8月15日に初版が出てからというもの、いくら版を重ねても修正されず、いつしかジョジョマニアの間でネタとして定着し、(ある意味で)親しまれるセリフとなった。昨年発売された文庫版でこの誤植が修正されてしまった際には、残念がる声も一部であがったほどだった(詳しくはゲス22歳さんの平成14年2月15日の日記を参照)。

しかし、長年修正されることのなかったコミックスの誤植が、初版発行から実に16年目、第68刷目にして、遂に―――――


新 新

03年6月10日 第68刷発行

何をするだァ―――ッ

ジョジョが2部、3部、そして6部まで続き、コミックスが幾度と無く重版されても、これだけは変わらなかった。
5巻の「きっちっとやつけなさい」がいつの間にか直されても、
13巻、14巻のタロットカードのイラストが著作権問題で差し替えられても、
29巻で仗助が承太郎の「甥」になったり「叔父」になったりしても、
1巻のこのセリフだけは、頑なまでに残されてきたのに。
「もう絶対に修正されない」、誰もがそう思っていたのに。

「ナツコミ101」キャンペーンの帯が付けられた、2003年6月10日発行の、実に第68刷目となる「ジョジョの奇妙な冒険」第1巻。しかしそこには、「何をするんだァーッ」という、ありふれた絶叫しかなかった―――。



Act.2

ジョジョ1巻の誤植「なっ! 何をするだァーッ ゆるさんッ!」は、先日お伝えした通り、コミックス版でも遂に修正されてしまった。この記事は公開直後より大きな反響を呼び、改めてこの誤植への関心(愛着?)の高さを示す事となったが、肝心の「いったい第何刷から修正されていたのか?」については分からないままだった。

しかし有り難いことに、記事を見た来訪者から、67刷以前についての情報が多数寄せられ、この度、遂に「決定的な情報」を得ることができたッ!

>ジョジョ1巻第65刷持ってます。発行日は2001年7月18日で誤植はそのまま「なっ!何をするだァーッ」でした
>私の家のジョジョ1巻は第66刷ですが、例の誤植は訂正されていました。第66刷の発行年月日は2002年4月17日の物でした。

修正されたのは、第66刷からだったッ!!

第66刷の発行年月日は2002年4月17日。やはり同時期に発売された文庫版で、この誤植が修正された(ゲス22歳さんの平成14年2月15日の日記を参照)のに合わせて、コミックスでも修正が入ったようだ。ちなみに、コミックス1巻の初版が発行されたのは1987年8月15日。第66刷で修正が入るまで、およそ15年掛かったことになるのだから、正直、驚愕!!である。

それにしても何故、『何をするだァーッ』は、こんなに目立つにも関わらず、長年修正されなかったのだろうか? その答えは、以前に雑誌に掲載された、このインタビューの中にあるのかもしれない。

僕にとって過去の作品は日記みたいなもの。記録なんです。ほかの作家の方はどうかわからないけど、どの作品でも「あれは失敗したなぁ」とか「自分の歴史のなかで、なかったことにしたい」なんて気持ちはまったく起きないんですよね。例えば前のページでは右足をケガしてるのに、後ろのほうでは左足になってたなんてことがあっても(笑)、それはそれでいいと思っちゃう。コミックとして出版されるときには、やっぱり書き直してほしいって言われるんですけどね。それでも僕は、「できればそのままにしておきたいなぁ」と。直したくないんですよね。汚点もまたよし。それも含めて僕の記録だと思ってますから。

「MEN’S NON-NO 2002年7月号」掲載、荒木飛呂彦インタビューより

こうしてこの世界にまた1つ、
新たなトリビアが生まれた―――

ジョジョの奇妙なトリビアの種:No.001

ジョジョ1巻の誤植『何をするだァーッ』は、15年間、第65刷まで続いた。


何をするだァーッ ゆるさんッ!

(コミックス1巻に関する情報を投稿して下さった、名無しさん、J-フィルさん、硫酸蜜柑さん、匿名さん、名無しさんに、ディ・モールト・グラッツェ!! そして、「MEN’S NON-NO」のインタビュー記事を、即座に調べて送って下さったジョジョ百科事典さんにも、ディ・モールト・グラッツェ!!)