「なぁ…知っていたか? プッチ。
パリのルーブル美術館の平均入場者数は、一日で4万人だそうだ。
この間、マイケル・ジャクソンのライブをTVで見たが、
あれは毎日じゃあない。
ルーブルは何十年にもわたって毎日だ……。
開館は1793年。
毎日4万人もの人間が、
モナリザとミロのビーナスに引きつけられ、
この2つは必ず観て帰っていくというわけだ。
スゴイと思わないか?」(
ストーンオーシャン11巻[AA]より、DIOのセリフ)
フランスのパリにある世界最大級の美術館の1つで、『モナ・リザ』や『ミロのヴィーナス』を始めとした、“時空を超えたスタンド”とも言うべき貴重な文化遺産が数多く展示されている、ルーヴル美術館(Wikipedia)に、1月22日から4月13日まで、荒木先生の新作原画が展示されている――!
ルーヴル美術館では、2005年よりフランスの出版社「フュテュロポリス(Futuropolis)」社と共同で、漫画家に「ルーヴル美術館をテーマとした作品」を自由に制作してもらうプロジェクトを行っており、そこでルーヴルが、新たに制作を依頼した先が、日本を代表する漫画家の一人、荒木飛呂彦先生だった模様。これまではフランスやベルギーのいわゆるバンド・デシネ作家が手掛けてきており、日本人としては勿論、初となる。(ちなみに荒木先生は2003年にパリ個展「JOJO IN PARIS」を行っている。)
現在ルーヴルで開かれている企画展「小さなデッサン展 – 漫画の世界でルーヴルを」(原題:Le Louvre invite la bande dessinee)は、このプロジェクトで生み出された作品の原画を展示したもので、ニコラ・ドゥ・クレシー『氷河期』(2005年)(Amazon[AA])、マルク=アントワーヌ・マチュー『レヴォリュ美術館の地下』(2006年)、エリック・リベルジュ『奇数時間に』(2008年9月)、ベマール・イスレール(2009年1月発表予定)、そして、荒木飛呂彦先生のオリジナル作品(2009年発表予定)から、貴重な原画が展示されている。
出展作品リスト(PDF)
※荒木先生の絵は、PDFの一番最後のページに掲載。
荒木先生が描いた「ルーヴル美術館をテーマとした作品」は、「Rohan au Louvre(仮題)」。直訳すると、「ルーヴルの露伴」という意味で、そこに描かれているのは勿論、ジョジョ4部で登場した変人偏屈天才漫画家・“岸辺露伴”。
露伴の衣装は「岸辺露伴は動かない ―六壁坂―」(「ジャンプSQ.」2008年1月号掲載)のカラー扉で描かれたものと同じ。『ジョジョ5部』第1話(コミックス47巻[AA])のジョルノのように、両手を前にかざしたポーズで、手からこぼれ落ちるようにGペン、そしてバックにはルーヴル美術館の建物などが描かれている。
展示されている荒木先生の原画は、両手を広げた露伴のイラスト1点と、製作中の漫画のページと思われる2点、それと、露伴が真夜中のルーヴルに忍び込んでいるようなイラスト1点の、計4点(いずれもカラー彩色)。文芸ジャンキー・パラダイスの情報によると、展示場所は「シュリー翼半地階東端の特別展示室(第6室)、入ってすぐ左(一番最初)」との事。
荒木先生の原画などが展示されたこの「小さなデッサン展」は、4月13日まで開催。荒木ファンとしては何としても原画を拝見したいところが、いかんせんフランスは遠すぎる…。
コミックナタリーの記事によると、作品は“年内に単行本となりふたたびルーヴル美術館で発表される予定”との事。また、
プレスリリース(PDF)の1ページ目左下(Google翻訳)によると、
「Itinerance」(”出張巡回”的な意味との事)が、2009年9月より各国で始まり、そして、“2010 : Tokyo”という言葉を信じるならば、2010年には東京でも展示会が行われる模様。
完成したらまた改めてルーヴルで展示会が行われるのか?
2010年には東京でも開催されるのか?
単行本「Rohan au Louvre(仮題)」は日本でも発売されるのか? それは日本語で読めるのか?
ジャンプSQで「岸辺露伴は動かない」シリーズとして掲載されないのか? など、疑問は尽きないが、ウルジャンなどで情報が出る事を期待して待とう。
#ルーヴルで荒木先生の原画を見られた方からのレポート等もお待ちしております!
- 小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルを(ルーヴル美術館公式サイト)
テーマ企画展
2009-01-22 から 2009-04-13 まで
小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルをルーヴル美術館の漫画プロジェクトのシリーズ全体を回顧する企画展。ルーヴル美術館は、2005年より、Futuropolis社と漫画のアルバムコレクションを作る共同プロジェクトを行っています。このプロジェクトは、漫画家にストーリーの中心となる作品やコレクション、展示室などを選んでもらい、ルーヴル美術館をテーマとした作品を自由に制作してもらう企画です。
ニコラ・ドゥ・クレシー『氷河期』(2005年)、マルク=アントワーヌ・マチュー『レヴォリュ美術館の地下』(2006年)、エリック・リベルジュ『奇数時間に』(2008年9月)、ベマール・イスレール(2009年1月発表予定)、荒木飛呂彦(2009年発表予定)のオリジナル作品からの原画を展示します。
また、招待作家の未発表のデッサンの展示も予定しており、「ルーヴル美術館の展示室を想像する」をテーマとした漫画とルーヴル美術館の関係を豊かに表現します。
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出展作品(PDF)
荒木先生の作品は一番最後のページに。漫画原稿の露伴に付けられた書き文字は、
“人を『本』にして その人物の『人生』を 文字として読むことが 出来る能力も(”を”?)持っている”、と読める。 - 「JOJO Worldがモナリザに並んだ」(イザ!)
コミックの世界がルーブルを包み込んだ。パリのルーブル美術館で22日、世界の著名な漫画家の作品を展示する企画展が始まった。「小さなデッサン展-漫画の世界でルーブルを」と題した企画展には、「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる荒木飛呂彦(ひろひこ)さん(48)の原画も展示された=写真(AP)。
“JOJO Worldがモナリザに並んだ”、という記事タイトルが秀逸。
- MyWire | AP: Famed Louvre museum embraces comics for first time
while Hirohiko Araki’s manga, “Rohan at the Louvre,” is set for release next year.
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Artdaily.org – The First Art Newspaper on the Net
公式PDFには無いイラスト。露伴先生何やってんスかッ! イラストはケースに入れられて展示されている模様。 - コミックナタリー – 岸辺露伴、ルーヴル美術館に降り立つッッッ
コミックナタリーが取材したところ、この新しい岸辺露伴ストーリーは「マジックな力を持つ日本の漫画家が、不可思議な絵画への探求を主題とする」もので、年内に単行本となりふたたびルーヴル美術館で発表される予定とのこと。
- Expo BD au Louvre, comme si vous y etiez
展示されている原画の各種写真。荒木先生の原画の画像も2点アリ。(他のニュース記事よりも大きめ) - 海外の漫画ファンが語る「ルーブル美術館で荒木飛呂彦先生の絵が展示される」(お茶妖精)
荒木先生の絵がルーヴルに展示された事への、海外漫画ファンの反応。・昨日、行ってきた!荒木氏の絵は4枚しか展示されてなかったけど面白かった。荒木目当てで行ったけど、他の絵も面白かったよ。2009年になって作者が報告したが、新しく「ルーブルの露伴」という作品を出版するらしいね。剥き出しで展示されてた方はそこからの抜粋だった。
- Google 検索: hirohiko araki Louvre
今回のニュースは正に世界中で報じられている。
- 『ホップステップ賞~岸辺露伴コメント~』 (1993年/週刊少年ジャンプ)((ジョジョ百科事典)
『取材』
この漫画界に、この露伴の『漫画作法』を完全に理解できる人間などいないだろうが、『取材』ぐらいしないで、迫力あるストーリーを描けると思ってんのかね?つまりだ、頭だけで考えたことや想像力は体験して感動したことにはかなわないってことなのだ。ぼくに言わせりゃ、“SF宇宙漫画”をマジに描くなら、「宇宙に行って来い!」って事に行き着くな。それぐらいの心構えでやれってことさ。 -
「ジョジョ」34巻[AA]、「漫画家のうちへ遊びに行こう その3」より。
「この岸辺露伴が金やちやほやされるために
マンガを描いてると思っていたのかァ――――ッ!!ぼくは『読んでもらうため』にマンガを描いている!
『読んでもらうため』、ただそれだけのためだ。
単純なただひとつの理由だが、それ以外はどうでもいいのだ!」 - 露伴先生大研究
名言やGペングッズ、ファッションチェックまで、岸辺露伴を徹底研究。 - 岸辺露伴 – Wikipedia / 荒木飛呂彦 – Wikipedia
- 荒木飛呂彦新作読切「岸辺露伴は動かない ―六壁坂―」掲載、「ジャンプSQ.」1月号(2007年12月発売)掲載、荒木先生インタビューより。
――露伴は先生お気に入りのキャラクターなんですか?
荒木:彼は初登場時は悪役のような立場だったけど、彼なりに考えている正義みたいなものは一貫してあって、それを貫いていくところが気に入っています。異常性も持ち合わせているんですが、主人公にピッタリのキャラクターですね。
――ではそんな露伴はズバリ、荒木先生から見てどんな存在ですか?
荒木:一言で言うと「憧れ」なんですよね。全部漫画を中心に物事を考えていられる男なんですよ。そのためにはいろんなことを犠牲にできる。例えばプライバシーとか道徳的なところまで。それでも彼は漫画の完成度を優先するわけですよ。たとえ人が傷ついてもそっちのほうを優先します。そのキャラクター性はいいですよね。
――でもあくまで憧れであって、露伴のように行動はしないということですか?
荒木:僕は社会的な制約がありますんで、ヤツみたいに行動できないですね(笑)。
(中略)
――じゃあ先生にとって露伴は動かしやすいキャラなんでしょうか?
荒木:そうですね、常に動機も異常で面白いですし。彼にはお金とか名誉とかそんなものは関係なく、ただ芸術のために、作品のために動くんです。異常さにもリアリティーを持たせてはいますが、人間の欲を超越した何かがあるんですよ、彼には。そういうところを描きたいですね。
- 『S~エス~』第3号(2003年6月)掲載、「JOJO IN PARIS」荒木先生インタビューより。
荒木:マンガ家はたくさんの役割を持っていて、脚本家やカメラマンや俳優などがあったりするけど、画家みたいなところもあるのかなって思う。僕はそういうタイプの漫画家だと思うので。
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『スティール・ボール・ラン』7巻[AA]より、作者近影。
※『スティール・ボール・ラン』6巻[AA]の作者コメントでは、最近ではダ・ヴィンチの「モナリザ」に似ていると言われた、と書かれている。