「ジョジョ」のアニメに“コーラン” 当該DVDアニメと原作の一部が出荷停止に

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追記(05/24):外務省報道官が談話を発表
追記2(05/24):共同通信の記事に疑問?
追記3(05/25):共同通信に電話をしてみた方の情報を追加
追記4(05/26):集英社コメントの追記部分について

  • アニメーション「ジョジョの奇妙な冒険」における表現について (日本語) / Letter to the Audience of “JoJo’s Bizarre Adventure” (English) / 集英社 ― SHUEISHA ―

     集英社発行の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を基に制作された
    オリジナルアニメーション作品「ジョジョの奇妙な冒険 Adventure 6 -報復の霧-」
    (アニメーション制作 A.P.P.P.)におきまして、登場人物の一人が手に
    している書物にイスラームの聖典である「コーラン」の「雷電章」の一部が
    描かれており、描写として適切でない部分がありました。

     「ジョジョの奇妙な冒険」は、時代や国境を越えたファンタジー作品であり、
    その内容にイスラームとムスリムを冒涜する意図はまったくありません。
    また、原作者は、漫画の中で「コーラン」を一切描いておりません。
    調査の結果、アニメーション化の課程で、舞台がアラビア語圏であったため
    アラビア語の文章を探していた現場スタッフが、それが「コーラン」の
    一部だとの認識を欠いたまま転写してしまったことが判明しました。
     また、その後の調査により、原作およびアニメーションにおいて、
    対決シーンにおけるモスクの描写についても不適切な表現があったことが
    分かりました。

     集英社およびA.P.P.P.は、これらのシーンがムスリムの皆様に
    不快な思いをさせてしまったことに対し、心よりお詫び申し上げます。
    我々は、今回の問題を真摯に受けとめ、当該DVDアニメと、原作の一部の出荷を
    停止するとともに、他の部分の調査を進めてまいります。今後、このような
    事態を二度と起こさぬため、イスラームとその文化についての理解を
    より一層深めるべく、努力する所存です。

    2008年5月22日
    株式会社集英社
    有限会社 A.P.P.P.

OVA版「ジョジョ」の中に不適切な表現があったとして、原作出版元の集英社と、アニメを制作したA.P.P.P.は、ホームページに謝罪のコメントを掲載するとともに、“当該DVDアニメと、原作の一部の出荷を停止する”事を明らかにした。


問題となっているのは、ジョジョ3部OVA「ジョジョの奇妙な冒険 Adventure 6 -報復の霧-」(2001年 A.P.P.P.制作)の冒頭、
エジプトにいる悪役DIOが、部下のホル・ホースに主人公達の抹殺を命じるシーン(FujiSankeiの記事に画像がアリ)。このアニメでDIOが手にしている本(表紙などは無地)に描かれていたアラビア語の羅列が、実はイスラム教の聖典「コーラン」の「雷電章」の一部だった事が発覚。
調査の結果、2001年のアニメ制作時に、“アラビア語の文章を探していた現場スタッフが、それが「コーラン」の一部だとの認識を欠いたまま転写してしまった”事が判明。(原作コミックスでは、DIOが読んでいるのは「何も書かれていないただの本」。そもそも原作者は、漫画の中で「コーラン」を一切描いていない。

スポーツ報知の記事によると、

 07年3月ごろから、アラビア語の字幕を付けた海賊版がネット上で流通。視聴者の1人が、問題の場面の静止画をサイトに投稿し「コーランを読めば私たちの子どもも悪者になるという意味か」と批判。この書き込みが反響を呼び、内容を変えながら300以上のサイトに転載され多数の書き込みを招いた。

 「イスラムへの攻撃だ」「イスラムのイメージを傷つける狙いだ」との批判や、「日本までもがイスラム教徒を悪人に仕立て上げている」との指摘も。中には「このアニメを放映したテレビ局を爆破しろ」という過激な意見もあった。

 イスラム教スンニ派教学の最高権威機関アズハルの宗教見解委員長アトラシュ師は「イスラム教に対する侮辱で受け入れられない」と非難した。

とあり、かなり大きな問題に発展してしまっている様子。新聞各社もこぞってこの話題を報じている。(ただ、実際の所、どこまで批判が加熱しているのかは不明。
時事ドットコムの記事では、“これまでのところ、日本に対する敵対的行動を呼び掛けるといった過激な反応は見当たらない”、とも。)

集英社、およびA.P.P.P.は、ホームページで全面的に謝罪すると共に、当該のアニメDVDと、原作の一部の出荷を停止すると発表。
毎日新聞の記事では、「日本~中近東を舞台にした27冊」とあり、これはジョジョ3部が描かれている、ジャンプコミックス12~28巻と、文庫版8~17巻を足した数と一致する。
5月26日に重版予定だった、集英社リミックスのジョジョ3部シリーズ第10巻(完結)も発売リストから削除されてしまった。

調査が終わればコミックスや文庫の出荷は再開されると思われるが、
集英社のコメントには、「モスクの描写についても不適切な表現があった」と書かれているため、コミックスになんらかの修正が入る可能性も。
このような残念な形でジョジョの「波紋」が広がるのはディ・モールト(非常に)心が痛いが、とにかく今は、静かに動向を見守ろう。


追記(05/24):
外務省報道官が談話を発表。
日本アニメのイスラムに対する不適切表現について(外務報道官談話、5月23日)外務省

5月22日、アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」を制作した集英社とA.P.P.P.社は、イスラムを冒涜する意図は全くない旨述べるとともに、不適切な表現によってイスラム教徒に不快な思いをさせてしまったことをお詫びするとの趣旨の見解を発表した。日本政府は、不注意とはいえ、同アニメの一部内容により、イスラム教徒の感情が傷つけられたことは遺憾と考える。いずれにせよ、異なる宗教や文化への理解と敬意を育み、このようなことが再発しないようにすることが重要と考えている。

また、集英社は、日本語と英語に加え、アラビア語でも謝罪文を掲載
これで丸く収まる方向に向かってくれるだろうか。


追記2(05/24):
dionotomoさんの「ジョジョの奇妙な冒険のイスラム教冒涜問題」に、アラビア語のサイトを実際に見た上での、新聞社の報道とはかなり違った見解が掲載されている。(プロフィールが無いので、どういう方なのかは不明 → プロフィールが追加され、大学院で歴史学を学び、中東方面で活動されている方との事。)※ただ、記事にはURLや原文の引用などの、情報ソースの提示が一切無いため、信憑性については自己判断で。(URLだけでも提示して欲しい所…)

確かに、「ジョジョ」「コーラン」とアラビア語で検索すると、数百のサイトがヒットしますね。
しかし、大半が同一人物による書き込みを転載したもので、文章まで同じものが多数あります。ほとんどのサイトでは、数本の書き込みがあって鎮火です。
しかも、「ジョジョを悪人」だと思い込み、「新作アニメ、ジョジョの奇妙な冒険」と書いているものがほとんど。新作じゃありませんよ。

確かに、ある一人のマニアがそれをやってアラビア語のサイトに載せて、一生懸命炎上を図った。最初は2007年6月あたりのことでしたねぇ。アニメオタクのサイトに投稿してみたものの、「他人のことなんかジャッジすんなよ、おめえ、うぜえんだよ」みたいな書き込みを、アラブの方からも受けて、あえなく撤退されたようですね、最初の投稿者師は。
次から次へと、教育問題のサイトや母親のサークルなんかに投稿し続けていましたね。けど、お義理程度の反応で、あまり盛り上がらず・・・5月に入ると数は増えてましたが、手当たり次第に投稿してましたねぇ。
そこに共同通信社が登場。「中東で火の手」と報道して、世界中に知れ渡ったと。そういうことですかねぇ。でも、放火したのは、どっちでしょうねぇ。

アラビア語のサイトで、粘着コピペを繰り返していた人物はいたが(どの国にもいるんだなぁ、こういう輩)、実際は大して相手にされておらず、いわゆる炎上はしていなかった。それを共同通信社がセンセーショナルに書き立て、世界中に報道されてしまった、という事らしい。(ジョジョ話に関する英語報道共同通信のジョジョ問題に関する記事について – 空き箱も参照。)


追記3(05/25):
ジョジョOVA問題について共同通信に電話をしてみた – UGS 日記のこもれ火に、また気になる情報が出ている。SHIKAIKILYOUさんが電話で直接「共同通信」に問い合わせたところ、下記のような回答があったと言う。

まず、第一報で触れられていた300以上の書き込みが同一の人物によるものではないかという情報がインターネットのブログで書かれているという事について質問すると、意外にも「それは事実であり、こちらも知っている」という返答であった。それは日本で2ちゃんねらーやネットイナゴなどと呼ばれる人間による「コピペ荒らし」の様な行為でないかと考えられるがと聞くと、やはりアッサリと「そうだと考えている」との事。

では、それにも関わらず、記事では一部の人間でなくイスラム社会におけるネット全体からの反発として読める様に記述されているのではないか、という質問には「イスラム教スンニ派教学の宗教勧告委員長という立場のアトラシュ師から反発があったので、それが即ちイスラム社会全体の代弁であると考え、問題であると認識した」との事。

「300以上の書き込み」が、ただの同一の人物によるコピペ荒しであると、共同通信側は分かっていた。
アトラシュ師のコメントも、「全体の代弁」と捉えられているが、もしこれが、ニュースでよくある「~に詳しい○○大学の○○教授に、問題の書き込みを見て貰ったところ…」のような取材方法での発言だったなら…。
ちなみにスポーツ報知の記事には、“集英社では5月上旬に報道機関からの問い合わせがあり”と書かれている。


追記4(05/26):
5月26日に集英社ホームページの謝罪コメントが更新され、新たに下記のコメントが追記された。

 本件に関する報道の一部に、登場人物が「コーランを読んで殺害指示を出している」かの誤解を招く表現がありましたが、本作品のストーリーには、そのような「コーランと殺害指示を関連づける」ような設定はありません。また、「ムスリムを悪者やテロリストとして描いている」といった事実もないことを、ここにお伝えします。

一部報道では“エジプトに潜む悪役「ディオ」がコーランを読みながら「(日本から来た主人公らを)始末しろ」と部下に命じる。”といった、非常に誤解を生みやすい書き方がされていた。今回の追記で、集英社側がハッキリとそれを否定したが、これがニュースとして報じられない事には、一部報道しか見ていない方の「誤解」は解けないままなのが、ディ・モールト(非常に)歯がゆい。もし身近に勘違いされているままの方がいたら、集英社のコメントを見せて、せめて周りから誤解を解いていこう。
dionotomoさんの「ジョジョの奇妙な冒険のイスラム教冒涜問題」の記事が、全て削除されていた(何故削除されたかは不明)。貴重な情報の一つだったのに…。

関連:

#集英社も迅速に謝罪し、アニメだけでなく、本件とは直接関係のない原作コミックスまで出荷を停止するという対応を取ったのだから、ムスリムの方々の誤解を解いて、こんな誰も得をしない、不毛ないざこざは終結させて欲しい。
国や言語を超えて、世界中に存在するジョジョのファンは、本当にジョジョが大好きで、荒木先生を応援しているし(今回の件では心を痛め)、そして早く、ジョジョの続きが読みたいだけなのだから。

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