ヨーロッパマンガ「バンド・デシネ(BD)」専門コミック誌『ユーロマンガ Vol.7』[A]の、「追悼メビウス特集」に、荒木先生のインタビューが掲載されている。
2012年3月10日に亡くなった、バンド・デシネを代表する作家、メビウス(ジャン・ジロー)さんを追悼する特集で、宮崎駿監督や大友克洋先生など、著名人からのコメントやインタビューが掲載されている。荒木先生のインタビューは全1ページで、メビウスに影響を受けた作家から間接的に影響を受けた事や、2009年にメビウスさんが来日した時の印象、そして、メビウスの絵の凄については、次のように語っている。
空間の描き方に関して言うと、線で描いているだけなのに、陰影をグーッとつけるよりもすごい広がりと立体感が出せる。白い絵と黒い絵という絵のタイプで分ければ、メビウスさんの絵は白いんですよ。白いのにあの立体感。あの辺はすごいですよね。(中略)
あとは運動の表現。日本のマンガは動線で運動を表現しますが、メビウスさんの場合は絵が正確だから、動線がいらない。動線なんてなくても、飛んでるし、浮いている。むしろ描いたらダサいというか。マンガ家だけじゃなくて画家にもメビウスさんのような絵かきはいないですよね。
なお、荒木先生は個人的に一番好きなBD作家として、エンキ・ビラルを挙げている。絵のラフさや東欧を思わせる寒さがかっこいいとの事。
- コミックナタリー – ユーロマンガがメビウス追悼、大友克洋、荒木飛呂彦ら登場 / ユーロマンガ最新号は、メビウス追悼特集 宮崎駿コメントなど – アニメ!アニメ!
- 荒木先生は“孫弟子”!? BD巨匠メビウス氏のシンポジウムで、荒木先生がスピーチ
2009年にメビウスさんが来日して開催された、国際日本学部シンポジウム「メビウス×浦沢直樹+夏目房之介」に、荒木先生も出席。シンポジウムの全内容は、『ユリイカ2009年7月号』[A]に掲載されている。僕はたぶんメビウスさんにとっての孫弟子にあたるのではないかと思います。大友先生や谷口先生がメビウスさんに影響を受けているというのを聞いて、初めて「メビウス」という名前を意識するようになったという経緯なので、大友先生、谷口先生をメビウスの弟子とするならば、僕は孫弟子というポジションだろうと。
僕がメビウスさんをすごいと思うのは、線で描かれているにもかかわらず、空間や立体感が非常に正確に伝わってくるんですね。先ほどスケッチされていたのを見ても、まるでマジシャンのような技の冴えでどうしたらあんなことができるのかとひたすら見惚れていました。夏目先生が「筆舌に尽くしがたい」とおっしゃっていましたけど、絵描きとしてこういう境地に行けるようこれからも精進していければと思います。 - 荒木飛呂彦もハマッたッ! ニコラ・ド・クレシー『天空のビバンドム』の帯に荒木先生の推薦コメントが掲載!
荒木飛呂彦もハマッたァァァ――ッ!!
「ひとコマ。ひとコマ。まったりと見入ってしまう。
お茶とお菓子をそばにおいて、ずっと眺めていたい」(「天空のビバンドム」[A]帯コメントより。) - 「何だろう、パリの雰囲気が出ているんです(笑)」 「ユーロマンガ」4号は、荒木飛呂彦インタビューが掲載!
- 「エンキ・ビラルと荒木飛呂彦」