デビュー直後の下積み時代を語る! 「まんがのチカラ」インタビュー『荒木飛呂彦先生(中編)』その2

6週連続で続く、まんが情報ポータルサイト「まんが☆天国」の、荒木先生連続インタビュー、第4回! 今回は荒木先生のデビュー直後の苦労話がたっぷり語られている。
今でこそ、独特のセンスを発揮させながら、1度も落とすことなく連載を続けられている荒木先生も、デビュー当時は全くの手探りだった!?

  • 初連載作『魔少年ビーティー』は、アシスタント無しで描かれていた。1週間分を描き上げるのに2週間くらい掛っていたとか。(ちなみに10週分の原稿は、連載前に全て仕上げられていた事が『JOJO A-GO!GO!』[AA]で語られている)
  • 当時のジャンプでは、10ページの直しくらいざらだったらしい。連載は19ページなのに、毎週実質30ページくらい描かれていた!? 最近直しをイヤがる新人がいるらしいとの事で苦言も(笑)。
  • 次の『バオー来訪者』連載決定を機に上京。また、『バオー』から初めてアシスタントを入れた。しかし荒木先生はアシスタント経験が無かった分、上手く指示出来ず苦労したらしい。しかし、アシスタントのおかげで、他の先生の貴重な原稿が見れたりも。


「いや、今でもけっこう直しているんですよ。直してあれなんです(笑)。」と謙遜されている荒木先生。もし直しが一切無かったら、いったい何ページ連載できるのだろうか(笑)。

ちなみに、荒木先生の拘りとして、「破片がジグソーパズルみたいにきちんとはまるように描かれていないとイヤ」と語られているが、実はこの事は以前、スーパー漫画家『岸辺露伴』先生も、このように語られていた。

「この岸辺露伴が、絵を描く上で、最もむずかしくてかつ(・・)楽しいのは「破壊」を描く時かな。たとえばガラスのコップを「破壊」する時その破片が一個一個「ジグソーパズル」のように断面が合うようにしなければダメだと思うんだ。ただ単に「ガラスが飛び散る」じゃあ、「ちゃちいマンガ」と思われてもしかたないぜ。そういう所にこだわらないで、「読者に対して申しわけない」と思わないかい!?」

荒木先生のアシスタントをされた方は、現実に『岸辺露伴』を見たッ!?
#でも実際の荒木先生はファンを大切にされるディ・モールトいい人、とフォロー(笑)。

インタビューも残りあと2回! 次回更新は、7月23日(月)。次のタイトルは「荒木飛呂彦は屈しない」…って、何に!? 「まんが☆天国」の連続インタビューから、「Be All Eyes(決して目を離すな)」!
「まんが☆天国」

関連:

  • 「大阪芸術大学 大学漫画 Vol.4」 対談:荒木飛呂彦×柴崎友香より。

    ――:デビューが20歳で、その頃は仙台のご実家で描かれていたんですよね?

    荒木:うん、『魔少年ビーティー』を連載していたのかな。でも大変になってきて。アシスタントとかいなかったですからね。上京しろって言われて、仕方がなくというんですかね。特に東京に出てきたかったわけじゃなくて。仙台って、人口の3分の1は学生の街なんですよ。若い人が多くて。芸術というわけじゃないけど、漫画文化やロックが、けっこう盛り上がってて。あと、ファッション・デザインとかね。そういうのに影響を受けて自分のスタイルが出てきて、「これで行こうかな」と思えたのが、『ジョジョの奇妙な冒険』の時、27歳ぐらいの時でしたね。7年ぐらいは、下積みというか、自分の中では何かを探していた時期、という感じでしたね。

  • 『西尾維新クロニクル』掲載、荒木飛呂彦×西尾維新スペシャル対談 「すべてはジョジョから始まった!」より。

    西尾:素晴らしいものを見ると、及ばずながら自分でもやってみたい気分になりますね。

    荒木:確かにありますね。ぼくは絵のほうなんだけど、「この絵、どうやって描いてるんだろうな」って思ったときに、その謎というんですかね、解きたくなるんですよね。たとえばマンガ家で、何かありえない方角に線を引っ張っている人がいるんですよ。普通上から下とか、右から左なんだけど、明らかに違う方向で描いているんですよ。原哲夫先生とかね。で、どうやって引くんだろうなみたいな。逆さまにしてからやるのかなとかね。
    絵画とかでも、この色をどうやって塗っているんだろうとか。そういうときにちょっと燃えてくるものがありますね。

    ――:原先生の謎は解けたんですか。

    荒木:やっぱり解けない部分もありますね。何でこんなにきれいな線がスッと引けるのかなって、自分でもやってみるんですけど、ちょっとちがうんだなあ。

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  • JC  文庫版
    『魔少年ビーティー』

    ぼくはよく人に「ビーティーにそっくりだ!」…と言われます。そのとおりだと思います。でも、あえて言わせてもらえるなら、ハンサムな主人公を描けば、みんな似てしまうのです。(JC版、作者近影より)

    「社会的ダイナマイト一触即発的良心罪悪感ゼロ的猛毒セリフ的悪魔的計算頭脳的今世紀最大的犯罪少年(麦刈公一談)」、イニシャルB・T(本名不明)の犯罪スレスレの活躍を描く異色サスペンスにして、荒木飛呂彦初連載作品。JC版には作者近影とファンレター、文庫版には描き下ろしの作者あとがきがアリ。また、短編集『ゴージャス★アイリン』にも、連載前のパイロット版として描かれた、ある殺人事件の話が収録されている。

  • JC1巻 2巻 /
    文庫版(1冊で全て収録)
    『バオー来訪者』

    超能力を持てるとしたら何? と聞かれ、ぼくは即「変身!」と答えました。何にでもなれるからです。
    予知とか念力とかは、ある程度やると飽きてしまうと思います。でも変身はきっと楽しいよ。他人をからかったり、いろいろな所へ行ったり……。きっと一生飽きずに遊べると思うな。(JC版、作者近影より)

    「バルバルバルバル」「こいつらの『におい』を止めてやるッ!」荒木飛呂彦が変身ヒーローを描くとこうなるッ!? 一人の少女を救うため、たった一人で強大な組織に立ち向かう、バオーの少年・育郎の孤独な戦いは、読者の心を強く打つ。
    JC1巻は寺沢武一先生、2巻には小説家・夢枕獏先生のコメントが、文庫版には作者あとがきが収録。
    英訳版OVA化もされた。