荒木先生ならではの「こだわり」について 「まんがのチカラ」インタビュー『荒木飛呂彦先生(後編)』その1

シェアする

6週連続で続く、まんが情報ポータルサイト「まんが☆天国」の、荒木先生連続インタビュー、第5回! 今回のテーマは、ジョジョという個性際立つ作品を作り上げるに至った、荒木先生ならではの「こだわり」について語られている。

ジャンプのバトルマンガではお約束とも言える、強敵のインフレやトーナメント方式。それらに囚われず、ジョジョを描き続けてきた荒木先生。当然、編集部からは「もっと強い敵を」という要望もあったようだが…、

―― でも、『ビーティー』の時もそうだったわけですけど、本流に逆らうのは大変なことだと思います。当時の編集部からは、「もっと分かりやすくて強そうな敵をバンバン出せ!」とか、そういう要望はなかったんでしょうか?

荒木:それはもちろんありましたよ。ただ、僕は「他人が描いていないことを描く」ということを一番大事にしていたので、そこは譲りませんでした。まんが家としての価値観を「人気」だとか、「売り上げ」だとかに置いていると屈しちゃうと思うんですけど、自分の中で進むべき道が見えていると、周りに何を言われても気にならなくなりますね。

―― アンケート結果にこだわっていなかったんですね。

荒木:いや当然、1位を取れたらうれしいですよ。でもそれは目的じゃないですよね。全く売れないのはイヤですけど、誌面に載っていれば良いのかな、と。



岸辺露伴のようにストイックに、そして、自分だけが『なじむ道』を見つけ出し、ひた走る荒木先生。でも、ファンとしても1位を取ってくれたほうが断然ウレシイし、ジャンプ連載時代はいつも巻末で、カラー掲載も滅多に無くて、どれだけ寂しかったか…。ウルジャン移籍後の『スティール・ボール・ラン』は、いまやウルジャンの看板タイトルの貫禄だが、更なる飛躍のためにも、アンケートハガキはなるべく出そうッ!(オレも出します^^;)

インタビューの後半は、担当編集者が作品に与える影響について。
編集者の意見によって作品が変わるって事はあるんですか?、との問いに対して、「それはもちろん。その人の好みも入っちゃったりするし。」と即答の荒木先生。
以前放送された週刊少年「荒木飛呂彦」でも、荒木先生は漫画家にとっての担当編集者の存在を、「助さん角さん」だと回答。承太郎がエジプトを目指したのも、当時の担当編集者の椛島さん(ジョジョ28巻の巻末で謝辞を述べられている方)の影響が大きかったとか。

担当編集者の好みも反映される荒木作品。そういえば、短編集『死刑執行中脱獄進行中』[AA]に掲載されている作品の1つ、「ドルチ ~ダイ・ハード・ザ・キャット~」について、荒木先生はあとがきで、こう書かれていた。


「ドルチ ~ダイ・ハード・ザ・キャット~」

この作品執筆時の担当編集者が、
「猫が好きで好きでしょうがない。生活する上での心の希望なんだよ」
とまで言ったので、
「でも、アンデスの山中で遭難したら、食べちゃうよ、きっと」
と言ったイジ悪なわたしの性格が生み出した一編。(作者あとがき)

…これも、担当編集者が作品に影響を与えた形、なのだろうか(笑)。
#あと、ストーンオーシャンのブッ飛んだアオリも、担当者が作品の外から(主に読者に対して)強烈に影響を与えた事例の1つ、…なぁーんて考えはヤバイ?ハハハ。

インタビューも次回、7月30日(月)の更新で、いよいよ最終回! 最後はどんな興味深い発言で締められるのかッ!? 「まんが☆天国」の連続インタビューから、最後まで決して「Be All Eyes(決して目を離すな)」!
「まんが☆天国」

関連:

  • 『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド OFFICIAL MOVIE GUIDE』、荒木飛呂彦ロングインタビューよりより

    ――:でも、最初は不安じゃなかったですか? 三世代に渡るまで続けられるのかとか、
    途中で連載が終わらないかとか……!?

    荒木:そんなことは考えない考えない! 人気があるとかも、まったく興味ないんですよね。

    ――:本当ですか?

    荒木:本当ですよ! 描きたいものを描く。やりたいことをやる。それが僕のスタンス。

  • ジョジョの奇妙な冒険 34巻[AA]、「漫画家のうちへ遊びに行こう その3」より。


    「この岸辺露伴が金やちやほやされるために
     マンガを描いてると思っていたのかァ――――ッ!!

     ぼくは『読んでもらうため』にマンガを描いている!
     『読んでもらうため』、ただそれだけのためだ。
     単純なただひとつの理由だが、それ以外はどうでもいいのだ!」

  • ジョジョの奇妙な冒険 46巻[AA]、作者近影より


    ちょこっと考えてると、マンガの中に強い敵が出て来る。その次にそれよりも強い敵が出て来る。その次はそれよりも強い。…となると最後はいったいどうなっちゃうわけですか? 宇宙のハテを考えてるみたいになる。それと世の中を見渡してみると本当に『強い』人っていうのは悪い事はしない事に気づく。
    「悪い事をする敵」というものは「心に弱さ」を持った人である、真に怖いのは弱さを攻撃に変えた者なのだ。(荒木飛呂彦)

  • 週刊少年「荒木飛呂彦」テキスト起こし週感ジョジョンプ

    船越「という事は旅行にインスパイアされて、ジョジョの舞台はイギリスになったっていう風に解釈しても?」

    荒木「あ、そうです。やっぱそういうのも編集者っていう人の影響みたいなもの、あるんですよ。編集者の趣味もとか入ってくることがあるんです。エジプトに行こうって言ったの、編集者なんですよ。大好きなんだもん。あの象形文字とか読める方で、もう行きたくてしょうがないの」

    船越「ヒエログリフが読める」

    荒木「読める人で、僕は行きたくなかったんですけど(笑)、汚そうでね、とにかく嫌なんですよ」

    船越「じゃあ先生の中にあったものがエジプトじゃあなかったんですね」

    荒木「そうですね、あれは担当さんとかそういうそばにいた人の影響っていうのがあって、例えば外国の主人公にしたらどうかな、っていうのも担当さんが反対される場合もあると思うんですよね、打ち合わせで。そりゃまずいよ、って。でもその人は乗ったんですよね。いいかもしんない、みたいな。そうすると勇気になってくるというか」

スポンサーリンク

シェアする

フォローする

合わせて読みたい